雑記帳

Twitterの補足、日記みたいなものです。

入院編:3日目~4日目午前中(手術直後~術後1日目の歩行練習終了まで)

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イラストはこちらからお借りしています

かわいいフリー素材集 いらすとや

 

『とびだせ!ならせ!PUI PUI モルカー』
気持ちよさと同時に一瞬だけ、なぜかそんなナレーションとポテトの絵を夢で見たような気がしましたがすぐに
「さえきさん、終わりましたよー!」
の声で現実に引き戻されました。声をかけられたのと同時に目がパッチリ開いたので覚醒したと認定されたらしく、
「OKです」
の声が聞こえてすぐに喉から管を出されるズルッとした感覚がありました。
抜かれる瞬間の痛みはありませんでした。管を抜いたらすぐ不織布マスクをつけてもらった記憶があります。
経験者のブログなどでは気管挿管の管を抜かれる瞬間を覚えている人とそうでない人、結構別れているみたいです。
そして、尿意があるんだか無いんだかよくわからないような変な感じがあったので、満足に声が出る状態ではないのですが
「トイレに行きたいような変な感じです」
と近くの人に訴えてみました。
「ああ、導尿カテーテルが入っているから大丈夫ですよ」
この変な感じがそうなのか……。とガッカリ。これは早く歩けるようになって取ってもらわねば!と心に決めました。

その後はなされるがままに術衣を着せてもらい、ストレッチャーに乗せられ病室に戻りました。看護師さんの『お帰りなさい』と言う声と『痛み止め要りますか?』の声は聞こえ「大丈夫です」と返答しました。とにかくトイレに行きたいような変な感じとものすごいだるさくらいしかその時点では感じていなかったです。
「酸素マスクつけますね」
と、不織布マスクの上から酸素マスクをつけられ、ふくらはぎに血栓予防のフットポンプを装着しはじめたあたりから記憶が途切れています。

それからどのくらい経過したのかはわからないのですが、お腹に痛みを感じて目が覚めました。酸素マスクは外されていました。

ちょうど看護師さんが居合わせたので、痛み止めをお願いしました。すると、
「さえきさん。先生が忙しくてお家の方に連絡入れるの忘れていたみたいなんですよ。ごめんなさいね」
看護師さんから謝られてしまいました。
「連絡が無いからって、お家の方から病院に問い合わせが入ったんですよ」
ダンナさんは術前検査の日に先生から『手術が終わったら連絡を入れるからつながる所にいてくださいね』って言われていたんですよね、確か。
なんか、前の日から慌ただしい感じがしていたと思ったら、しわ寄せがこんなところに来たか……と痛みに耐えながらもそんな事を考えていました。
「とりあえず、ご主人さんにLINEのスタンプでもいいから元気だよってお返事してあげたらどうですか?」
看護師さんがスマホを握らせてくれました。

 

「お腹の痛さに耐えているのにLINEしろだなんて、看護師さん厳しすぎィ!!!」

 

とはさすがに声には出しませんでしたが、痛み止めの点滴を用意してもらっている間になんとか「ありがとう」のスタンプを送信。
そのときに、左手の甲に追加の点滴針、右脇腹にドレーンの管が刺さっているのに気が付きました
喉がカラカラだったので、なんとか気力を振り絞って
「水はいつ飲めますか?」
と看護師さんに聞いてみた所、
「もうちょっとですね」
との返答。
ああ、これはもうちょっとと言って放置のパターンかな?
諦めた所でそこからまた意識が途切れました。


次に気がついたら目の前にはS先生がいました。
「さえきさん、お疲れ様です。めまいとか気持ちの悪さとかないですか?」
全身麻酔の副作用として、体の震えやめまい、吐き気などがありますが幸いにして私はそういうのは全くありませんでした。お腹の痛み、あと吐き気とは違う違和感がありました。
「手術は腹腔鏡で行うことができました。子宮内膜症が酷くて癒着もしていたから予定通り子宮と卵巣は全部摘出しました。出血は少なかったから輸血はしなかったですよ」
場合によっては開腹手術に切り替えるかもと言われていたので、腹腔鏡手術と聞いて少しは安心しました。
「痛みは我慢しないでどんどん痛み止め使ってください。痛みが和らいでいる間に動けるなら積極的に寝返りうっていいですよ。お腹の管が取れれば痛みも少し違ってきますから頑張って!」
うーん、S先生のSはスパルタでどSのSなんだなぁ……。
「何か聞きたいことはありますか?」
即座に思い浮かんだのはいつ水が飲めるのか。
「自力でつばを飲み込むことができれば大丈夫。看護師に伝えておきますね」

( ´゚д゚`)エー つば飲み込めますってば、今じゃだめなんですか? また放置ですかー。

心のなかでつぶやいてため息をついた所から記憶がありません。
前日、前々日と眠っていなかったので、ここぞとばかりに身体が睡眠時間を取り返そうとしていたんだと思います。

次に気がついたのは室内が暗くなっていたので、消灯後だったはず。
夜勤の看護師さんが採血にやって来て
「よく頑張りました。お疲れ様です」
と手を握ってくれました。
左手の甲に追加で刺さっていた点滴はここで終了。

夜勤の看護師さんはこちらから言い出す前に痛み止めを使うか聞いてくれたり、熱があるのでアイスノン使うか聞いてくれたりとよく気が利く人でした。
「あの、お水飲んでいいですか?」
「S先生から許可出てます。ゆっくり少しずつ飲んでくださいね」
ここでようやく手術室に向かう前に用意しておいた水を飲むことができました。水を飲んで気力が少々回復したところで、看護師さんが小声でささやきます。
「痛みが和らいだら膝の曲げ伸ばしとか、足首動かしてみるとか、無理のない範囲で寝返りしてみてくださいね。ちょっと辛いけど、そうしたほうが方が回復するの早いから」
頭では解っているけど体が辛い。だけど、皆さんが頑張って面倒を見てくれている気持ちに応えるためにも動かなきゃならないんだなと、このあたりから痛みを堪えつつゴロゴロ動くことを心がけました。おならもこの段階で出ました。
看護師さんから「おなら、出ましたか?」って毎回聞かれていたんですよね。

次に目が覚めた時には病棟の電気がついていたので、午前6時は過ぎていたはず。
「歯磨きできますか?」
声をかけてきたのは夜勤の看護師さんだったので、まだ交代の時間ではなかったようです。お腹は痛いけどできないほどではないので、ベッドを起こしてもらいました。


歯磨きが終わってしばらくそのままの姿勢でいると、日勤の看護師さんとS先生がやってきました。
「お腹の管抜くから、ベッド倒しますね」
ベッドがフラットな状態になり、S先生が管が刺さっている右側に腰を下ろしました。
「これから管を抜くんですが、ちょっと痛いです。3秒我慢してください」
確かに痛いけど我慢できないほどではなく、空気が抜けるような音がしてドレーンの管は抜けていきました。傷口はテープを貼るだけ。
「明日からシャワー使って大丈夫ですよ。おへその傷は化膿しやすいから石鹸でよく洗ってください。他の傷は多少大雑把でも大丈夫ですから」
入院計画書ではシャワーは術後3日からって見たような気がしたけど、先生は術後2日でOKを出しました。
「この点滴が終わったら、点滴はもうお終いです。ホルモンの補充でお腹に貼るテープは退院する頃に始めましょう。歩けたらおしっこの管も抜けますよ。頑張って!」
そう言うと先生は去っていきました。
「では、さえきさん。点滴終わる前に痛み止め追加して歩行練習に備えましょうか?」
看護師さんの提案に私は頷きました。
ここで心電図やパルスオキシメーター、フットポンプが外れて身体がだいぶ楽になりました。

痛み止めが効いている間に歩くぞ!そう意気込んでいたのですが、そこからまだ忙しさのしわ寄せが終わってなかったらしく一時間ちょい放置されます。
「ごめんなさい、さえきさん。ちょっと立て込んでまして歩行練習前なんだけどお部屋の移動をしますね」
看護師さんに声をかけられ、一瞬だけ固まりました。

なんですとー! (  Д ) ゚ ゚

歩行練習はトイレまで歩ければ合格です。
現在の部屋はナースステーション直近なのでトイレにも近かったのですが、今度移動する部屋は最初に入った部屋の廊下を挟んだ向かい側。ナースステーションから遠くトイレからも遠いのです。
ベッドごと遠くの部屋に運ばれて、そこから歩行開始です。

ベッドを起こしてもらって、めまいや吐き気が無いことを確認。
ゆっくりと痛みを逃しながら靴を履いて立ち上がります。ちょっと痛いけど大丈夫。点滴台にウロバッグを乗っけて歩みを進めます。歩く速度は普段の1/3。おばあちゃん並みにゆっくりですがふらつくことなく歩けます。
「余裕じゃないですか、これなら大丈夫そうですね!往復できたら管抜けますよ!」
看護師さんに褒めておだててもらって歩行練習終了。
点滴の針も導尿カテーテルの管も抜けて、晴れて自由の身になりました。